「社会保険の現物給与の扱いについて」 | |
社会保険では、賃金、賞与等名称に関係なく、被保険者が事業主から労働の対償として支払を受ける全てのものを「報酬」としています。毎月の給与であれば金額が明確なのでわかりやすいのですが、現物給与の場合はどうなるのか?時々質問を受けますので昨年の改正情報をあらためてお知らせしたいと思います。
平成30年4月1日以降の現物給与の取り扱い(1人1カ月当たり)
次に住宅ですが、これは畳1畳=1.65㎡で換算して計算します。30㎡の部屋の場合、30÷1.65×1620=29,454円(1円未満切り捨て)が現物給与の価格になります。ちなみに、大阪との価格差に驚きますが、東京都の1畳当たりの価格は2,590円もします。 最後に重要な事ですが、食事と異なり住居の場合は2/3以上を徴収しても現物給与が無かったことにはなりませんのでご注意ください。 今回は社会保険についての事を書きましたが、労働保険はまた別の取り扱いになります。統一してもらえるとわかりやすいと思うのですが、現状は各法律で異なっています。 |
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( 大 瀬 ) |
「テクニカル分析」 |
改元や消費税増税を控えている今年ですが、国内を見ると大企業の不正発覚や政局の不安、国外を見ると米国の貿易協定に関わる発言や英国のEU離脱問題によって、直近の株式市場はやや不安定な様相を呈しております。
一般的に、株式や外国為替を中心とした相場の分析には「ファンダメンタル分析」と「テクニカル分析」という2つの分析手法があります。 「ファンダメンタル分析」とは経済状況や企業の財務状況・経営状況などのデータを基に将来の株価を予測する分析手法です。例として、今後少子化が進む日本では生産性が落ちてゆくと考えられるので、円の価値が下落して円安が進行するのではないかと予測することや、株式会社Aの決算が赤字見通しなので、今後株価は下落してゆくだろうと予測することなどが挙げられます。(PBR、PERなどが有名です。) 一方で、「テクニカル分析」とは過去の株価や為替の値動きをチャートで表して傾向を導き出し、今後の株価や為替動向を予想する分析手法です。例として、過去の平均値から現在の価格の割安割高を推測することや、下落局面で過去に似たようなチャートの動きがあったため、今後は反転して上昇に転じるのではないかと予測することが挙げられます。(移動平均線、エリオット波動などが有名です。) このように、どちらかというと「ファンダメンタル分析」には馴染みがある方が多いかと思われますが、「テクニカル分析」についてはあまり馴染みのない方も多いのではないでしょうか。しかし、「テクニカル分析」こそ、日本とはとても所縁が深い手法なのです。 その理由は、「テクニカル分析」の中で有名な指標といわれている「ローソク足」という指標を発明したのが、実は江戸時代の日本人だったといわれているからです。米の先物取引で価格変動を見やすくするために発明され、そこから「酒田五法」という手法が誕生したそうです。 さらに、この切っ掛けとなった米の先物取引所こそ享保15年8月13日に開設された世界初の先物取引所である「堂島米会所」です。当時の大阪は全国の年貢米が集められる場所で、正米取引(現在の現物取引に該当)と帳合米取引(現在の先物取引に該当)が行われていたとされます。※堂島には先物取引の先駆であることを謳った「堂島米市場跡記念碑」が建っています。 歴史を紐解いてゆくと大阪との縁が深い「テクニカル分析」ですが、未だに知名度は高くないのが現状です。「ローソク足チャート」から見ていただくと興味を持たれる方もいらっしゃるかと思いますので、是非一度ご覧ください。 |
( 長 田 ) |
「毎月勤労統計調査」 | |
皆様は、失業保険や労災保険、育児休業給付の支給を受けたことがありますでしょうか? 最近毎日のように報道されている毎月勤労統計調査の統計不正とはどういうことなのか、それがどうして上記保険等の給付に影響を及ぼすのかよく分からないな、自分には関係ないだろうと思われている方が殆どの様な気がします。 当調査は、全国調査、地方調査及び特別調査の3種類から成り、雇用、給与及び労働時間について全国的変動や各都道府県別の変動を毎月明らかにすることを目的としています。この内、全国調査は、母数約190万事業所から約33,200事業所を産業・規模に分け、それぞれから無作為に抽出し調査しますが、規模が500人以上の事業所については抽出ではなく全数調査とすることが総務省の承認により決められており、今回東京都において、この全数調査対象の事業所に於いて1/3のみを抽出して調査が行われていたというのが、統計法違反に当たるとされています。 500人以上の規模の事業所は給与水準も高い為、調査結果の賃金指数が低く算出されていたということになります。 では、この指数によりどうして国民に対し過少給付されることとなるのか。失業給付(基本手当)を例に解説してみます。 雇用保険に加入している労働者の方は、会社を自己都合で離職した際は離職日以前2年間の間に12カ月以上被保険者の期間が、または会社が倒産した場合など自己都合でない場合などは、1年間の間に6カ月以上の被保険者期間がある方が退職した場合に支給されます。 実際の計算を順番で見ていくと、まず被保険者期間の最後の6か月間の賃金の総額÷180日で賃金日額という金額を出します。そしてこの賃金日額をその金額の範囲で45%から80%にして基本手当の日額を出します。 ※60歳未満の場合
前年度の毎月勤労統計調査の平均給与額が増えたか減ったかに基づいて、その次の年の8月1日から上に挙げた賃金日額の上限と下限の金額と、80~50%の当てはめ方も変わることになるのですが、これら賃金日額の金額や給付率が低く算出された賃金指数を基に決められていた為、過去支給を受けていた方の殆どに対し、追加給付が必要となったわけです。 対象となり得る給付は、2004年8月以降に支給された雇用保険、労災保険、船員保険の一部及び雇用調整助成金等事業主向け助成金の一部です(現在受給中の方も該当する場合があります)。既に相談専用ダイヤルが設けられています。ぜひ今一度自分にも関係があるかどうかを確認して頂けるきっかけになれればと思います。 |
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( 岩 﨑 ) |